平凡な一日と貴重な一日

今日や明日という日はそれこそ何でもない平凡な一日です。しかし、その平凡な一日が集まって、私たちの人生を作っているのです。だから、平凡な一日こそ貴い永遠の一日です

台風15号 市原市のゴルフ場の鉄柱倒壊 その後

 

ゴルフ場の鉄塔倒壊

市原市、五井のゴルフ場の鉄塔が台風15号の強風で倒壊しました。

Google Mapでゴルフ場の場所を調べてビックリ。

1995年までの3年間、このゴルフ場のすぐそばのライオンズマンションに住んでいました。

そばにある若葉小学校は息子が1年生から3年生まで通った小学校です。

当時は、駅近の新興住宅街で、空き地も少しあった記憶があります。

今回の事故にあわれた住宅を見ても新しい住宅ばかりです。

五井の駅から海に向かった方向で、もともとは埋め立て地だったと聞いていました。

 

さて、この件まだ賠償責任がはっきりしないようです。

 

民法717条

土地の工作物等の占有者及び所有者の責任

土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。

ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が」その損害を賠償しなければならない。

 

という条文です。

この条文は民法709条の故意、過失があったことを要件とする、一般の不法行為責任より重いものとされてます。

土地の工作物という本来危険性の高いものを占有、所有する人に対して重い責任を負わせていると解釈されています。

今回の事故は

台風による強風が倒壊の原因ですが、瑕疵(鉄塔が本来有している安全性を欠いていること)と不可抗力(台風による異常な強風)の双方が合わさって損害が発生したものです。

鉄塔が倒れた以上、瑕疵がなかったと証明する責任は「占有者・所有者」にあります。

今回の台風15号で、瓦や屋根が飛ぶ状況で、飛んだ瓦が他の家や人を傷つけた場合は「台風だからしかたない。あちこちで瓦が飛んでいるので、不可抗力」と証明するのは容易でしょう。

 

でも、このゴルフ場以外のゴルフ場で鉄塔が倒壊というような事態になっていない以上、不可抗力であると証明するのは事実上不可能でしょう。

「立証責任あるところに敗訴あり」という法格言もあります。

 

ゴルフ場が倒産したら

これが一番怖い事態です。

会社が倒産したら、会社の資産を整理しその中から「賠償する」ことになります。

五井の土地ですから、かなりの価値はあると思いますが、土地を売るためにはすべてを撤去しなければなりません。

撤去費用も相当掛かります。

銀行が土地に抵当権を設定しているかもしれません。

従業員の給与も優先的に払われます。

賠償金は当然裁判手続きを踏んでから個々の金額を決めるでしょうから、それが決まる頃には会社の財産はほかの債権者の手に渡ってしまいます。

ゴルフ場の加入している賠償責任保険があったとしても、会社が倒産してしまえば支払われません。

以前、八戸の水産加工会社の烏賊製品にサルモネラ菌か何かの菌が付着していてその製品を使った商品で下痢、腹痛などの被害に遭われた方が相当数発生した事故がありました。

その当時はPL法も施行され、その原因となった会社もきちんとPL保険に加入していたのですが、なんと事故を起こして新聞に載ってから1か月もしないうちに倒産。

結局、その会社の加入していたPL保険は支払われない、ということがありました。

その時は、その製品を加工販売していた別の会社のPL保険で対応できたのですが、そんな例もあります。

 

感情論ではすみません

自宅の火災保険に入っている人は、まずその保険を目いっぱい活用すべきです。

保険では賄えない「それ以外の損害」「慰謝料」をゴルフ場に請求する。

そんな形で、ゴルフ場が倒産しないようなすべを探ることも必要です。

被害に遭われた方には全く責任のない不幸な事故です。

でも、一方的に責めても残念ながら事態は良くならないと思います。

 

 

 

 

 


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