台風15号 市原市のゴルフ場の鉄柱倒壊
台風15号で市原市にあるゴルフ場の鉄塔が倒壊し、付近の住民は家を押しつぶされ、おおきな被害に遭われています。
これに対し、ゴルフ場は「台風という自然災害なのだから」賠償責任は発生しないと考えているようです。
また、一部報道もそのように見解を述べているようです。
本当にそれでよいのでしょうか?
台風による風災?
稚内で1998年ごろ、やはりゴルフ場の鉄塔が強風で倒壊しました。
運よく3面のゴルフ場の鉄塔の内倒壊した部分には周辺に民家がなく、鉄塔の損害だけで他に被害はありませんでした。
その原因は「突発性低気圧」日本海上の低気圧が日本海上から東に移動する際、突然巨大化し、風速45メートルに達したものです。
その時、気象台に「風力の変化」を確認するため訪問しました。そこにあったグラフを見せてもらったところ、昼前後のたった1時間だけ、風速45m。
その前後は10から20mの風です。
20mでも確かに強い風ですが、そのくらいでは大した被害は発生しません。
その時、ゴルフ場の責任者からうかがった話。
強風に気が付いて、緊急のネットを降ろす装置を作動させたそうです。
ところが、ある程度の風速が強いと、ネットが風に煽られ降ろそうとしても、煽られる力が強く、ネットが張られたまま。
どうすることもできず、倒壊してしまったとおっしゃっていました。
突発性の低気圧ですからそんな不幸なこともあるのかなと感じた次第です。
しかし、今回は台風。
進路もニュース等で十分わかっていました。
天災か人災か
事前の対策もなく漫然とネットを張りっぱなしにしていたとすればこれは天災ではなく「人災」です。
その時聞いた話でも、ネットを張った鉄柱は風の力にはひとたまりもないとのこと。
ネットを降ろす、取り外す仕組みになっていなかったとすれば、これも設備としての瑕疵にあたるのではないでしょうか。
確かに、周りの家は新築の家屋が多く、きちんと火災保険に入っているとは思いますが、家が長い間使えないという状態は、精神的にはもちろんですが、金銭的にも、家が修復できるからよいという問題ではありません。
確かに、地震や台風。企業としても賠償責任を負うことのできない天災は存在します。
でも、今回もそうですが、たくさんあるゴルフ練習場の中でも、このゴルフ練習場が鉄柱倒壊した原因はここ独自の理由(欠陥・過失)があるのではないでしょうか。
その個別事情は台風だから仕方ないというのではなく、きちんと糾弾されるべきと思います。
転ばぬ先の杖
また、ゴルフ場の近辺に住んでいる方。
この例を教訓に、ゴルフ場に対しこのような場合の「ゴルフ場としての事故を発生させない手立て」を確認する必要があるのではないでしょうか。
事故が発生してからではなく、発生していない今こそ、行動することが大切かと思います。
近所のゴルフ練習場ですが、ネットは降ろせるようになっています。
こんな鉄塔ではネットを張ったままではひとたまりも無いのは見るだけでわかります。