平凡な一日と貴重な一日

今日や明日という日はそれこそ何でもない平凡な一日です。しかし、その平凡な一日が集まって、私たちの人生を作っているのです。だから、平凡な一日こそ貴い永遠の一日です

哈爾浜 黒竜江大学へ留学

中学生のころ、「満州の赤い夕陽」を見てみたいと思っていました。

海辺の町で育ったので海に沈む夕日は見慣れていましたが、大平原に沈む真っ赤な太陽というのを一度見てみたかったのです。

漠然とした思いは日々の生活に追われるうちに心の奥底に沈んでしまっていましたが、新潟勤務時代、哈爾浜の宝物展を見た時、昔の気持ちがよみがえり、そして「ハルビン」という、一風変わった響きを持つ都市の名前に心を惹かれ、一度その街で暮らしてみたいと思いました。

その後、札幌に転勤してから週1度の中国語教室に通い、中国語を勉強。中国で短期生活するには、語学留学という方法が一番手軽と考えハルビンで留学できる大学を探しました。

 

年齢の問題。

ネットで調べましたが、60歳以上の人間を受け入れる大学がほとんどありません。

留学手配の斡旋業者に聞いたところ「世界の国々は平均寿命が65歳以下の国がほとんど。中国も65歳くらい。そんな国で60歳からの人間に門戸を開いている大学は無いのが当たり前」とのこと。

唯一年齢に制限のないハルビン黒竜江大学の国際文化交流学院(学部)に留学先を決定。3月1日からの後期開講に合わせて、2月末に出発しました。

 

 

 


ハルビンの街

新潟からの直行便で2時間半でハルビン太平空港に到着。

上空から見たハルビンの街は荒涼とした大平原にポツンとコンクリートの高層ビルが密集して立ち並び、まるで養殖エノキだけのよう。

旧市街は1900年代の初頭、主に帝政ロシア租借地として開発したためロシア風の街並。中国、シベリア開発の要地として急発展し各国の大使館、領事館も建てられあちこちに旧○○建築との金属プレートの張られた歴史的保存建物が点在。

日本領事館も現在中国共産党の建物として使用されていました。

日本関連の旧跡は伊藤博文が暗殺されたハルビン駅のホームと森村誠一の「悪魔の飽食」でも有名な関東軍731部隊の跡地くらいでしょうか。

 

 

中国人大学生の学生生活

中国の大学生は1,2年生は寮生活。寮は6人から8人部屋。

11時には完全消灯の軍隊並みの生活です。

授業も朝8時から遅い日には夜7時まで。授業が終わったら図書館で勉強。図書館はいつも満員です。

留学生は午前中のみの授業。国際文化交流学院は中国語の勉強をする学生の集まり。

ちなみに私のクラスは韓国人7人、ロシア人4人、アメリカ人3人、フランス人1人、日本人1人の構成です。ほとんど20代のメンバー。

意外に感じたのはアフリカ各国からの留学生の多さ。中国のアフリカ進出の現れかと思います。

宿舎より黒竜江大学(一部)を臨む
遠くに見える尖塔の建物が正面玄関の建物です
とにかく広い



 

日本に対する反日感情

 

ハルビンは中国の最北部の黒竜江省省都で戦時中も抗日運動の盛んだった地区。731部隊の旧跡も日本軍の戦争犯罪の証拠として残し、また、抗日運動で非業の死を遂げた烈士を顕彰する「東北烈士祈念館」もあります。

祈念館に見学に行ったとき、戦時中に27歳の若さで3歳の子供を残し抗日運動で亡くなった女性の逸話を記念館員から聞いていた子供連れの若い母親が涙を流していました。

テレビでもどこかのチャンネルで戦争ドラマを放映。

昔よく見た「コンバット」のドラマを思い出しましたが、あのドラマの悪役のドイツ軍が今見ているドラマでは日本軍。

日本人にとって第2次世界大戦は70年以上前の話、自分の親の時代かそれ以前の昔の感覚を持っている人が多いと思いますが、中国人にとっては、毎日放映しているドラマの中で日本軍が悪行を繰り返している、そんな感覚です。

日本人のことを「日本鬼子」という人もいました。日本人の蔑称でドラマのセリフでは頻繁に出てきます。

 

 

日本人留学生

 

日本人留学生9人の内8人がなんと60歳以上。最高齢者は、この大学で4年学び秋に大学院に進むという73歳の男性。

恋憂い者は日本人以外では唯一59歳の韓国人のみ。

 

 

セクハラ教師

 

課外授業で「太極拳」の講義を受けた時のこと。太極拳の講師が指導と称し女子学生の体に手をまわし組手の技をかけ始めました。

明らかなセクハラ行為。

即、割って止めに入り講師と押し問答。

あなたの行動はセクハラに抵触する、やめるべし。とのこちらの主張に、相手は「ロシアの大学でも中国の大学でも教えているが、そのようなクレームは今までなかった」「ロシアで教えた時男子生徒が技から逃れようとして転倒した。自分より身長の高い生徒に技をかけると危険なので、自分と身長の同じくらいの女子生徒に技をかけるようにしている」等々の弁解。

普段は授業中でも60%くらいしか理解できない中国語もこの時ばかりは、相手の話がほとんど理解できました。アドレナリンのお陰で頭がパワーアップしたのか、あるいはこのような行為をする人間の弁解は言葉は違っても同じな為予想できたのか。

 

更に翌日、日本人4人で、大学の教務室に乗り込み監督官に昨日の顛末を伝え、厳重抗議。老人パワーの見せどころです。

 

最後にこんな事件もありましたが、3か月半の短いハルビン生活も終了。

 

帰った翌日、行きつけの病院に行き血液検査。というのは留学中食事があわず体重が8キロ減。

心配で調べてもらったところ、行く前に悪かった「血圧」「コレステロール」「肝臓数値」「尿酸値」すべて基準内で合格。先生曰く「粗食が良かったんですね」

メタボで悩んでいる方、哈爾浜、お勧めです。

 

 

博物館に展示されているマンモスの骨格